歴史の役職

初代「征夷大将軍」とその一覧!

更新日:

「江戸と言えば将軍さま!」

江戸の人たちは将軍さまが大好きで、将軍さまがなさることは片っ端から真似していたという話を耳にしたことがあります。

江戸の雑煮が質素なのは将軍さまの真似をしているから。江戸庶民も花見が出来るようになったのは将軍さまのおかげ。

そんな将軍さま。国で一番偉い人のような気がしていましたが、将軍=軍の大将。

ということは軍事力を保持していた誰かに仕えていたということ。

そう、将軍って「征夷大将軍」の略でしたね。

仕えていたのはもちろん、歴代天皇。

征夷大将軍だって有事の際には天皇を守って戦う立場です。

歴史上、何人もいる「征夷大将軍」って誰と戦っていたの?そもそも何人くらいいるの?

ちょっと調べてみました。

スポンサーリンク

 

初代「征夷大将軍」は誰?

「征夷大将軍」とは

「征夷」とは「夷(えびす・えみし)」を征伐する任務を帯びた大軍を率いる将軍のこと

「夷」は中国の言葉で「東方の敵」を意味します。

古事記・日本書紀の中ではヤマトタケルノミコトが東征に向かっています。古事記では相模の国まで赴いたとありますから、関東をすっかり領土としたということのようです。

残念ながら、ヤマトタケルノミコトが実在の人物か、その活躍が実際にあったのか確証がないそうで、初代「征夷大将軍」はもっと時代が下ったところで生まれた人のようです。

 

「征夷大将軍」は征東大将軍と呼ばれることもあり、都から東方面へと敵を攻めていく任務を負いました。

天皇がいる都から東に向かって、何度も「征夷大将軍」は派遣されています。

そのたびに領土を広げていって、関東あたりから最後は北海道最南部あたりまでを日本の領土としていったそうです。

日本の地図は少しずつ今の形に近づいていったんですね。

征夷大将軍とは?関白の違いも分かりやすく解説!

 

初代「征夷大将軍」は誰なのか?

なぜか学説3つあり

今回、「征夷大将軍」について調べていると、初代は誰なのかについて3つの学説があることがわかりました。

1つ目は、巨勢麻呂が最初というもの。

2つ目は、大伴弟麻呂。

3つ目は、坂上田村麻呂。

どうしてこんなに意見が分かれるのかには、理由がありました。

 

何をもって「征夷大将軍」の始めとするのか?

「征夷大将軍」は東夷を攻めるための将軍。

じつは、「征夷大将軍」という名称以外にもいくつか東夷に向かう将軍名があるのです。

律令(朝廷が定めた法律)で定められていない役職のため、正式名称がなかったせいだということです。

「鎮東将軍」「持節大将軍」「持節大使」「征東大使」「持節征東大使」「征東大将軍」「持節征東将軍」「征夷将軍」など。

それにしても、もう少しまとめても良さそうなものですが。

意味は同じでもてんでばらばらな名前たち。わかりにくくなかったのでしょうか。

 

一人目の初代「征夷大将軍」候補

この中で最も早く東夷に向かったのが「鎮東将軍」の巨勢麻呂です。

官名が違うために巨勢麻呂を「征夷大将軍」として数えない場合、大伴弟麻呂と坂上田村麻呂が次の初代「征夷大将軍」候補に挙がります。

 

二人目の「征夷大将軍」候補

大伴弟麻呂が初めに補任(任命)された官名は「征東大使」でした。

「征夷大将軍」以外の名称を数えないようにする場合には大伴弟麻呂が初代になります。

と、言っても大伴弟麻呂は東夷の任を命じられた時は「征東大使」という官名でした。ですが、大伴弟麻呂が任についている間に「征東大使」が「征夷大将軍」という名前に変更になったのです。

「征夷大将軍」を最初に名乗ることになったのが大伴弟麻呂なのでした。

 

三人目の「征夷大将軍」候補

大伴弟麻呂は「征夷大将軍」として補任されたわけではないので除外するということになると、最後に残った坂上田村麻呂が初代「征夷大将軍」であることになります。

坂上田村麻呂は大伴弟麻呂の部下で、朝廷から命じられた(授けられた)官名は最初から「征夷大将軍」でした

それを踏まえて、坂上田村麻呂から後に続く「征夷大将軍」の系譜だけを数える向きもありました。

 

私は学生時代に初代「征夷大将軍」は坂上田村麻呂だと教わった覚えがあります。

その次に出てきた説が大伴弟麻呂、最新の学説が巨勢麻呂らしいのです。

学説はどんどん新しいものが出てくるものなんですね。

スポンサーリンク

 

「征夷大将軍」一覧

それでは、巨勢麻呂も「征夷大将軍」として数えた状態で、歴代「征夷大将軍」を一覧にしてみましょう。

「征夷大将軍」以外の官命の場合はそれも記載しています。

 

名前

                官名               

時代

補任された年

1.     巨勢麻呂

鎮東将軍

飛鳥時代

和銅2(709)年

2.     多治比県守

持節征夷将軍

奈良時代

養老4(720)年

3.     藤原宇合

持節大将軍

以下同

神亀1(724)年

4.     藤原麻呂

持節大使

天平9(737)年

5.     藤原継縄

征東大使

宝亀11(780)年

6.     藤原小黒麻呂

持節征東大使

宝亀11(780)年

7.     大伴家持

持節征東将軍

延暦3(784)年

8.     紀古佐美

征東大将軍

延暦7(788)年

9.     大伴弟麻呂

征東大使

延暦10(791)年

10.  坂上田村麻呂

征夷大将軍

平安時代

延暦16(797)年

11.  文室綿麻呂

征夷将軍

以下同

弘仁2(811)年

12.  藤原忠文

征東大将軍

天慶3(940)年

13.  源義仲

征東大将軍

寿永3(1184)年

14.  源頼朝

征夷大将軍

鎌倉時代

建久3(1192)年

15.  源頼家

以下同

以下同

建仁2(1202)年

16.  源実朝

建仁3(1203)年

17.  九条頼経

嘉禄2(1226)年

18.  九条頼嗣

寛元2(1244)年

19.  宗尊親王

建長4(1252)年

20.  惟康親王

文永3(1266)年

21.  久明親王

正応2(1289)年

22.  守邦親王

徳治3(1308)年

23.  護良親王

元弘3(1333)年

24.  成良親王

南北朝時代

建武2(1335)年

25.  足利尊氏

征東将軍→征夷大将軍

南北朝室町時代

建武2(1335)年

26.  興良親王

以下、征夷大将軍

室町時代

延元4(1339)年

27.  宗良親王

以下同

正平7(1352)年

28.  足利義詮

延文3(1359)年

29.  足利義満

応安1(1369)年

30.  足利義持

応永1(1395)年

31.  足利義量

応永30(1423)年

32.  足利義教

正長2(1429)年

33.  足利義勝

嘉吉2(1442)年

34.  足利義政

文安6(1449)年

35.  足利義尚

文明5(1474)年

36.  足利義稙

延徳2(1490)年

37.  足利義澄

明応3(1495)年

38.  足利義稙(再任)

永正5(1508)年

39.  足利義晴

大永1(1522)年

40.  足利義輝

天文15(1547)年

41.  足利義栄

永禄11(1568)年

42.  足利義昭

栄禄11(1568)年

43.  徳川家康

江戸時代

慶長(8)1603年

44.  徳川秀忠

以下同

慶長10(1605)年

45.  徳川家光

元和9(1623)年

46.  徳川家綱

慶安4(1651)年

47.  徳川綱吉

延宝8(1680)年

48.  徳川家宣

宝永6(1709)年

49.  徳川家継

正徳3(1713)年

50.  徳川吉宗

享保1(1716)年

51.  徳川家重

延享2(1745)年

52.  徳川家治

宝暦10(1760)年

53.  徳川家斉

天明7(1787)年

54.  徳川家慶

天保8(1837)年

55.  徳川家定

嘉永6(1853)年

56.  徳川家茂

安政5(1858)年

57.  徳川慶喜

慶応2(1867)年

58.  徳川綱重(追贈)

贈征夷大将軍

没後に贈られた

宝永7(1710)年

 

以上、58人の征夷大将軍がいました。

解任されて再任した将軍もいるため、就任人数で数えると、もう少し多いのですが、実際の人数としては表のとおりです。

 

 

まとめ

・初代の征夷大将軍は誰か、3通りの説がある

・初めて東征に向かったのが「巨勢麻呂」

・初めて「征夷大将軍」の官名を戴いたのは「大伴弟麻呂」

・初めて「征夷大将軍」を拝命したのは「坂上田村麻呂」

・現在は巨勢麻呂を初代とする説が主流のようです

初代から最後の徳川慶喜まで1158年間、断続的にですが存在した「征夷大将軍」。

西日本を平定して後、東へ東へと領土を広げた朝廷の家臣であった者の官名から、時代を経て武士の頭領であった者、さらに日本の統治者の称号へと変っていった「征夷大将軍」という役職。

民衆から愛される将軍さまも、残念ながら嫌われた将軍さまもいたのでしょう。

一人ひとりをクローズアップして見てみると、壮大なドラマが繰り広げられていたのかもしれませんね。

これからも様々な研究が続いて、じつは隠されていた謎の征夷大将軍が見つかったりすることもあるかも?

いつも歴史研究にアンテナを張っておくのも楽しいかもしれませんね。

-歴史の役職
-,

Copyright© 【歴ペディア】歴史の人物、城、戦、ミステリーを分かりやすく! , 2019 All Rights Reserved.