西洋の甲冑というと、どんなものを想像しますか?私はあのシルバーで覆われたガチガチの鎧を想像します。
戦いでは槍や銃弾などが飛び交いますから、堅固な守りが必要ですよね。
日本にも立派な甲冑がありますが、西洋の甲冑と日本の鎧は機能性などにおいて何か違いはあるのでしょうか?刀や兜などもまったくちがう形をしていますし、それぞれにメリット・デメリットもありそうですよね。
今回は、西洋の甲冑・兜・刀と日本のものを比べて、何が違うのか検証していきたいと思います!
西洋と日本の甲冑(鎧)・兜はココが違う!
西洋の甲冑はココがすごい!
西洋の甲冑というと、中世後期に使われたフルプレートアーマーが有名だと思います。これは頭と首周りを完全に覆った兜と、肩と腰をしっかりと覆った金属の鎧で構成されています。
それだけでなく、腕部も脚部も完全に金属製の装甲で覆われています。金属製の鎧でほぼ全身が覆われていると言っていいでしょう。
装甲で覆われている部分をロングソードで斬りつけてもびくともしません。斬撃も全く通用しません。刺突であれば可能性はありますが、装甲の上から貫くためには相手の中心を突く必要があり、かなりの技量が要求されます。
武士の鎧だと弱点となる、脇や首筋もかなりしっかり覆われているので、隙間を狙って刺突を通すのは難しいです。遠距離からの矢は殆ど弾きますし、至近距離から矢を放たないかぎり有効な攻撃はできません。
そんな最強の防御力を備えたプレートアーマーですが、それなりに弱点もありました。
意外な!?プレートアーマーの弱点とは⁉︎
鉄壁の守りをどうやって崩せばいいのか・・・?
プレートアーマーを着た騎士には実は・・・「打撃」が有効です。鎧が完全に体に密着しているため、打撃武器による衝撃がかなりそのままに体に伝わります。ロングソードや刀の衝撃では十分なダメージを与えられませんが、ハンマーなどの衝撃力なら一撃です。
そして、もう一つの弱点といえば甲冑の重さと動きにくさです。
高度な軽量化技術を使ったもののそれでも最低20キロ、重いものでは40キロ以上あったそうです。軽快に動くために必要な体力はかなりのものです。
倒れたら起き上がれない(驚!)という話もあります。だだ、訓練すれば意外に軽快に動くことが可能とのこと・・・。どんな訓練をしたら動けるようになるのでしょうね…
日本の鎧は動きやすく、相手への攻撃が容易!
一方、日本の甲冑は高い防御力を持ちながらも製造が容易で、軽くて動きやすいという特徴を持っています。様々なバリエーションがありますが、基本的な構成はあまりどれも変わりません。
最も高い防御力を誇る胴当ての下には、数枚の金属板を組み合わせた垂れがついており、太腿を保護しつつ足の動きを妨げないようになっています。
また、同様の構造で肩にも装甲がついており、肩や上腕を保護しつつ自由に腕が動くようになっています。
さらに、籠手や脛当てで腕や脚を守っていますが、これは肘・膝から下を覆っているだけで、上腕部や太腿には装甲がありません。手には手甲、足は甲掛という防具を着けます。
兜は頭部を完全に覆う鉢状の部位に首を覆う垂れがついています。これも完全に首を覆ってしまうことがなく、首は自由に動きます。これに顔面を覆う頬当がつき、全身を守る武士の鎧が完成します。
しかし見れば分かりますが、結構隙間があるので比較的攻撃は通ります。
兜と胴に関しては鉄壁ですが、局所的に装甲が薄い部分があり、首周りや脇は致命的な弱点になるでしょう。この点においては、西洋の甲冑の方が防御力には優れています。
攻撃力をとるか守備力を固めるか、考え方によって身につけるものも違ったんですね。
西洋と日本の刀はそもそも意味合いがまったく違う⁉︎
西洋剣は「叩き斬る」使い方をする
西洋で広く伝わる「西洋剣」とは、分厚い刀身をもち、両方に刃がついているものがほとんどです。
刃の部分を分厚くし、重くすることで攻撃性能を高めつつ、剣の耐久性を上げることにもつながっています。
武器そのものが重いため、「斬るための道具」というよりは「叩き斬る道具」であり、刃がぼろぼろになっても、鈍器として十分な性質を持ちあわせていました。
また先が鋭利に尖っているので、突くことにも長けています。戦いとなれば相手は硬い鎧を着込んでいるはずなので、その隙間を突いて使われることもあるのです。
日本刀は「切り裂く」使い方
一方の日本刀は、西洋剣ほど分厚くはありません。
とても薄く、柔軟にしなることで刀身は折れにくくなっています。しかし薄い身の刀を作るには、高い金属加工の技術が必要になります。
こちらは攻撃の対象を「斬り裂く」ことに特化しています。
大きく湾曲しているのも、そのための構造です。
突きにはあまり向かないとされてはいますが、こちらも十分な威力を発揮します。
実際どんな風に使うの?
西洋剣はローマ時代には軍隊に取り入れられ、その戦闘技術も確立されていました。
槍や弓など距離をとって戦う武器が主流でしたが、剣はそれらに比べて小さく、補助的な武器として欠かせないものでした。
長い戦いの中で多少の刃こぼれがあっても、鈍器としての性質をもっている西洋剣の場合は、致命傷を与えるには十分だったようです。
銃が発達した時代になると、敵も味方も重い鎧を着る意味がなくなったため、補助的な武器として携行性の高い剣が好まれました。
一方で、日本刀は主に平和な時代に護身用として使われました。日常的に持ち歩き、数人を撃退できればそれで十分だったのです。
ちなみに戦国時代の日本刀は、現在伝わる刀とは性質が異なります。
日常的に持ち歩く必要はないので、大振りで切れ味より耐久性を重視させた、西洋剣のようなタイプの刀でした。
武器が違えば考え方も全然違う⁉︎
刀を構えた人物と言えば「武士」で、剣を構えた人物と言えば「騎士」が思い浮かぶかと思います。
それぞれ「武士道」「騎士道」と名付けられた、心のあり方や行動の指針があります。
もちろん剣と刀が違うように、これらの道もそれぞれ考え方がまったく違います
騎士道とは
騎士道には「騎士の十戒」があり、これらには「正直であれ」「弱者を守れ」「仲間を守れ」「淑女を守れ」など、品行方正であることを強く求められていました。
騎士道はレディファーストなイメージもありますね。
王などの主人に仕えてはいるものの、騎士はあくまでも自分が信じている神と契約をするそうです。
そのため、主人が理不尽な命令を下した場合、騎士は自分の信念の元に、拒否をしなければならないこともあったようです。
武士道とは
一方の武士には「五常」という教えがあり、やはり品行方正であることが求められていました。
忠義の観念があり、仕える相手は神ではなく主君でした。
自分のためではなく、主君のために生きるという覚悟を持っているのが武士道です。
しかしどんな命令でも聞き入れることは愚かであるとされ、理不尽な命令に対しては、考えを改めさせることも求められていました。
考え方が全然違うように感じますが、常に品良く正直であること、自分の信じた道を貫くという点においては、騎士道も武士道も同じなのではないかと思います。
まとめ
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- 西洋の甲冑はまさに鉄壁の鎧!防御力に優れている
- 日本の甲冑は動きやすく、攻撃にも転じやすい仕様となっている
- 西洋の刀は刃の切れ味が悪くなっても鈍器として使うこともできる
- 日本刀は主に斬撃中心
- 西洋の刀と日本の刀は用途が若干異なり、また「騎士道」「武士道」の精神は後世に受け継がれ続けている。
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というのが今回のまとめです!
西洋も日本もそれぞれに特徴があって面白いですね。
ですが、どこか似ているところもありました。
戦いは誰かを傷つけるだけではなく、大切な人を守るためにしていることなんですね。
今回は西洋の甲冑(鎧)・兜・刀について、解説させていただきました。